北海道



1.北海道(ほっかいどう)ってどんなところ?

 

日本は4つの大きな島とたくさんの小さな島からできている島国です。その中で、本州についで2番目に大きく、一番北にあるひし形をした島が北海道です。日本はせまい土地に1億(おく)2000万人の人が住んでいますが、国土の6割を占める本州に1億人の人が住んでいます。北海道の広さは本州の3分の1くらいですが、人口はわずかに520万人。日本のほかの地域から北海道に行くと、人が少なく、土地が広いので、広々としていると感じます。「北海道、でっかいどー。」なんていうことばもあります。しかし、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ロシアなど大きな国から来る人たちからすると、それほど広々としているとは感じないかもしれません。

 
北海道は中国の人たちにとても人気があります。人気のきっかけは、以前、中国で北海道を舞台にしたドラマが大ヒットしたからとも言われています。また、冬になると、夏のオーストラリアから多くのスキーヤーやスノーボーダーがやってきます。北海道は気温が低いためにサラサラとした粉雪がふります。このような雪がウィンタースポーツにはぴったりなのです。そのため良いスキー場がたくさんあります。中心都市の札幌(さっぽろ)では1972年に冬季(とうき)オリンピックが開かれました。

一般的に日本の夏はとても暑いのですが、北海道の夏は日本の他の地域に比べてすずしいため、多くの人が北海道に行きます。しかし、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)の影響(えいきょう)かもしれませんが、北海道の気温も以前よりも上がっているようです。せっかく北海道に来たのに東京みたいに暑いというようなことも、最近はよく聞くようになりました。

北海道が暖かくなったことで、北海道の農業も少し変わってきました。昔は、北海道は寒すぎて、お米が育たないと言われてきました。しかし、今、北海道をお米を作ることが盛んで、おいしいお米がたくさんとれるようになりました。「ゆめぴりか」という北海道産のお米は人気があります。

Q:皆さんの住んでいるところでも地球温暖化による影響はありませんか? 皆で話し合ってみましょう。


2.北海道の歴史

 

北海道にはもともとアイヌとよばれる先住民(せんじゅうみん)が住んでいました。日本の少数民族で、日本語とは異なるアイヌ語を話し、独自の文化を持った民族でした。アイヌ民族は、いくつかのグループに分かれていました。北海道だけではなく、北にあるサハリンの南や千島列島(ちしまれっとう)に住んでいました。アイヌ語には文字がないため、どのような歴史があったかは、残念ながらよくわかっていません。

 

北海道には500年くらい前からアイヌ以外の日本の人たちも住むようになり、今から約150年前の明治時代以降になると、アイヌの人たちにも、日本語での教育が行われるようになりました。そのため、アイヌ語を話す人は少なくなり、文化などが失われていきました。先住民の権利を尊重(そんちょう)しようという世界的な流れの中で、日本でもアイヌの人たちを先住民と認めて、彼らが誇り(ほこり)をもって生きられる社会にしようという機運(きうん)が高まり、法律もできました。

Q:皆さんの住んでいるところには先住民の人たちはいるでしょうか? また、そのような人たちの権利を尊重するためにどのようなことが行われていますか?

 

昔、北海道は蝦夷(えぞ)と呼ばれていました。しかし、明治時代(めいじじだい)になると蝦夷から北海道という名前に変わりました。同時に原野や森林を畑や人の住む場所に変えるための開拓(かいたく)が国の政策となりました。また、この時代の日本は国の力や軍隊も弱かったため、いつ大きな国が攻めてくるか、国のリーダーたちはこわがっていました。そこで普段は開拓をしながら、いざという時には兵隊になるという人たちを募集しました。これを屯田兵(とんでんへい)制度と言い、参加した人たちは屯田兵と呼ばれました。屯田兵や一般の開拓者の人たちによって北海道の開拓が行われましたが、北海道の夏はすずしくて過ごしやすいのですが、冬はとても寒いので、開拓はとても大変でした。寒さの中でのきびしい仕事でした。このころ、北海道の東にある網走(あばしり)などに刑務所が作られましたが、そこにいた囚人(しゅゆじん)たちまで、道路を作ったりして、開拓にかりだされました。このようにして、北海道の原野や森は農作地に変わっていきました。

さて、開拓が進んで多くの開拓者の人たちが生活を始めると、アイヌの人たちが広い原野や森林で動物をとったり、海や川で魚をとったりして生活をするということが難しくなりました。時には、政府などの都合で、無理やり住んでいるところを追い出され、別の場所に住まわされることもありました。アイヌ語を禁止されることはなかったようですが、教育が日本語で行われ、アイヌ語を話す機会も少なくなりました。同時に他の地域から来た日本人との結婚も多くなり、アイヌ民族の独自性(どくじせい)は失われてきました。また、少数民族への差別もあり、自分がアイヌ民族であるということを名乗りづらい雰囲気(ふんいき)もありました。そのようなことが100年以上続き、自分が少数民族の出身であったことさえ知らない人が増えているのが現状です。

 

北海道が開拓により近代化される間に、アイヌという先住民の言葉や文化などは失われていきました。日本に限らず多くの国で、開発などで先住民の権利がおろそかにされ、文化などが失われていきました。しかし、今は多様な文化や言語があることは素晴らしいという考え方が世界で広がっています。アイヌの文化をどのように守っていくかは今後の北海道や日本の課題です。

 

3.北海道の自然・動物

 

日本には火山が多く、温泉もたくさんあります。北海道も同じです。また、北海道には大きな湖もたくさんあります。このような火山や温泉や大きな湖はどのようにしてできたのでしょうか?

 

地球の地殻(ちかく)とよばれる外側の固い部分をプレートと言います。プレートはいくつかに分かれていて、日本にはそのプレートが集まっています。それぞれのプレートが接するところに大きな力がかかり、そこがずれると地震が起こります。2011年の東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)はプレートがずれたために起こりました。また、プレートが接するところでは、マグマだまりという溶岩(ようがん)の塊(かたまり)が地殻(ちかく)のところまで上がりやすく、それが地表からふき出した時に起こるのが火山の噴火(ふんか)です。日本は火山列島といわれるほど火山の多い国です。また、何千年、何万年という昔に大きな穴が空いてしまうような大噴火(だいふんか)が起こった後、その穴に水がたまり湖になることがあります。このような湖をカルデラ湖と言います。北海道には支笏湖(しこつこ)、洞爺湖(とうやこ)などのカルデラ湖がたくさんあります。 

地震(じしん)や火山はとてもこわいものです。しかし、日本にはそのおかげで、温泉などの恵みや風光明媚(ふうこうめいび)な自然もあります。北海道にも温泉はたくさんあります。登別(のぼりべつ)温泉などが有名です。

その他に北海道には日本で一番大きい釧路湿原(くしろしつげん)があります。湿原とは水気の多い原っぱです。釧路湿原で、カヌーに乗って川を下ると、エゾシカやキタキツネ、運が良いと特別天然記念物(とくべつてんねんきねんぶつ)のタンチョウという大きなツルに会えます。釧路湿原にはラムサール条約に登録(とうろく)されるほどの貴重な自然が残っています。タンチョウはかつて絶滅(ぜつめつ)したと考えられていましたが、今から100年近く前に釧路湿原で生き残っていることが確認されました。その後、保護されて少しずつ数を増やしてきています。

 

また、北海道の東にある知床半島(しれとこはんとう)はユネスコの世界自然遺産(いさん)に登録(とうろく)されています。日本で一番大きい陸上動物のヒグマやオジロワシ、オオワシなどのワシの仲間、海にはシャチやクジラなどが見られる自然の宝庫(ほうこ)です。また、冬になると知床半島の北側オホーツク海側には流氷(りゅうひょう)が流れてきて、それに乗ってアザラシなどの動物も顔をみせてくれます。

他にも富士山と並んで日本で一番早い時期に雪が降る山として有名な大雪山(たいせつざん)など、自然の見所が多いのも北海道の魅力です。



文・写真:岡野秀夫 (2021.2.24)